• Miho Uchida

オペラ・ララ『ニシダ島の天使』をROHにて世界初上演!主役シルビアを演じたジョイス・エル・コーリーにインタビュー!

Interview with Joyce El-Khoury who sang as Sylvia in the world premiere of

Donizetti's L'Ange de Nisida at the Royal Opera House



ROHにて『ニシダ島の天使』を世界初上演した際のジョイス・エル・コーリー氏 ©ROH and Opera Rara, Photo by Russell Duncan

今年7月にオペラ・ララがロイヤル・オペラ・ハウスにて世界初上演した『ニシダ島の天使』のコンサートは記憶に新しいが、そのライブが録音され、2019年に発売される。オペラ・ララは、知る人ぞ知る、非営利的なオペラ・カンパニーで、1970年代初めにアメリカ人、パトリック・シュミッドとイギリス人、ドン・ホワイトの2人によって創設された。歴史の中に埋没した19世紀のオペラの傑作を発掘し、蘇らせることを使命としており、その過程における学術的・音楽的発見を通してオペラ文化発展に貢献していることで有名だ。現在オペラ・ララの音楽監督を務めるのは巨匠マーク・エルダー氏で、『ニシダ島の天使』のコンサートでも指揮者としての敏腕をふるった。主役シルビアを歌ったのはソプラノの世界的な大スター、ジョイス・エル・コウリー氏だ。今回、この二人にインタビューする機会を得た。


ジョイス・エル・コウリー

(Joyce El-Khoury)

Profile

 レバノン・カナダ人のソプラノ歌手。ブライアン・ロー・オペラ・コンペティション、マリオ・ランザ・コンペティション、ジョージ・ロンドン・コンペティションで優勝。以後、ニューヨークのメトロポリタン・オペラ・ハウス、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスを初め世界中の歌劇場で歌う大スター。レパートリーはヴィオレッタ、ミミ、ミュゼッタ、カルメン、デスデモナ、ルザルカ、ジュリエット、タチアナ、サロメ、イモジェンなど多数。



リハーサル中のジョイス・エル・コーリー氏 ©ROH and Opera Rara, Photo by Russell Duncan

2013年に『ベリザリオ』、2014年に『レ・マルティー』を録音しているのでコウリー氏にとっては『ニシダ島の天使』は、オペラ・ララと協力した3本目のドニゼッティ・オペラの録音になった。彼女にとって、「サー・マーク・エルダーと仕事をすることはとても楽しく勉強になる」と語ってくれた。

「サー・マークが、歌手に期待していることがなんとなく分かるようになってきたので、あ・うんの呼吸で仕事が出来るようになってきました。サー・マークはドニゼッティが楽譜に書いていることを忠実に再現した音楽を作りますが、出来上がりはいつも素晴らしいです。私とは異なる物事の見方を教えてくれるので彼からは常に学ぶ事があります。私は自分は行かなくてもいいオーケストラとの音あわせなどにも行きます。それは彼は耳がよく、彼がどのような音を各楽器から引き出すのかにとても興味があるからです」


『ニシダ島の天使』はフランス語オペラでコウリー氏は主役のシルビアを歌った。その役についてはどう思っているのだろうか。

「ドニゼッティのオペラは3つ目なのでベルカントスタイルの歌い方は無理なく出来るようになってきました。とはいえシルビアの役はコロラトゥーラもあり、息継ぎなしで歌わねばならないフレーズもたくさんあり、合唱やレシタティーヴォもたくさんあり、かなり努力を必要とする役です。フランス語はイタリア語で歌うのと違って子音が母音の音を遅らせるような歌い方をしないといけないのですが、私の母国語はアラビア語とフランス語なので苦労しないで歌う事ができますし、むしろフランス語で歌うのは私は好きです」


 ロイヤル・オペラ・ハウスでは『ニシダ島の天使』の以前に『椿姫』のヴィオレッタと『ラ・ボエム』のミュゼッタなど人気オペラのメインロールを歌っているが、ロイヤル・オペラ・ハウスで歌うことの感想を尋ねると声を弾ませて答えてくれた。

「『椿姫』のヴィオレッタは今までに13作品歌っていたので熟知している役柄でしたが、ロイヤル・オペラ・ハウスで歌うことになった時は子供の頃からの夢がかなって有頂天になりました。その後、ミュゼッタ役をいただきこの上なく有難く思っています。ロイヤル・オペラ・ハウスは世界一流のオペラ・カンパニーでオーケストラもプロデューサーも素晴らしく、彼らと一緒に仕事できるのは本当にラッキーです」


コウリー氏は美しくて華があり大スターなのに全く気取ることのないとても魅力的な女性だ。真摯な態度で仕事に取り組む彼女の姿勢には好感が持てたし、相手を思いやる気持ちがある人物だと言うことは話していて手にとるようによくわかった。オペラ・ララとの共同作業などを通してオペラ文化を発展させる一翼を担う彼女をこれからも応援していきたいと思う。



September 27th, 2018付 J News UK(http://www.j-news-uk.com)に掲載


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